漢方治療エビデンスレポート
日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
11.
消化管、肝胆膵の疾患
文献
Tominaga K, Fujiwara Y, Shimoyama Y, et al. Rikkunshito improves PPI-refractory NERD: a prospective randomized multi-center trial in Japan. Gastroenterology 2010; 138: S655-6.
冨永和作, 藤原靖弘, 荒川哲男. GERD-六君子湯. 診断と治療 2011; 99: 771-6. MOL,
MOL-Lib
Tominaga K, Iwakiri R, Fujimoto K, et al. Rikkunshito improves symptoms in PPI-refractory GERD patients: a prospective, randomized, multi-center trial in Japan.
Journal of Gastroenterology 2012; 47: 284-92. Pubmed ID: 22081052
1. 目的
PPI抵抗性のGastroesophageal reflux disease: GERD患者に対する六君子湯の有効性の評
価
2. 研究デザイン
ランダム化比較試験 (RCT)
3. セッティング
大阪市立大学附属病院消化器内科 他4研究機関 (研究グループ)
4. 参加者
ラベプラゾール (RPZ 10 mg /日) の4週間以上の内服にかかわらず効果の得られなかっ
たPPI (proton pump inhibitor) 抵抗性GERD患者104名 5. 介入
Arm 1: RPZ 10 mg/日は継続しツムラ六君子湯エキス顆粒7.5 g/日分3を追加投与した
併用群53名 4週間投与
Arm 2: RPZを20 mg/日へ用量を倍にした倍量群 51名 4週間投与 6. 主なアウトカム評価項目
FSSG (Frequency Scale for Symptoms of GERD) のPointと改善率 7. 主な結果
割付後投薬開始前に3名が除外され、Arm 1: 50名、Arm 2: 51名となった。この両群の
投薬開始前の年齢、性差、BMI、PPIの単独治療後における内視鏡所見など患者背景に
有意差はなかったが、試験開始前のFSSGのスコアはArm 1において有意に高かった。
4週間の投薬が完了した解析症例数は Arm 1: 45名、Arm 2 :50名であった。両群とも4
週間の治療でFSSGトータルスコア (Arm 1 P<0.001, Arm 2 P<0.01) ならびに逆流症状・ もたれ症状において投薬開始前に比較して有意な改善効果が得られたが、治療前後の
改善率については両群間に有意な相違は得られなかった。サブグループ解析で男性の
Non-erosive reflux disease: NERD患者群に限定するとArm 1はArm 2に比較し、有意な
FSSGの改善が認められた。BMIで痩せ型の群で同様の傾向が顕著であった。
8. 結論
PPI抵抗性のGERD患者 (特にNERD患者) に対して六君子湯は有効である。RPZへの
六君子湯追加投与の効果はRPZの倍量と同等である。
9. 漢方的考察
証の解析はなされていないが、BMIで痩せ型の男性で有意に効果が顕著であった。
10. 論文中の安全性評価
記載なし
11. Abstractorのコメント
PPI抵抗性のGERDの定義には明確なものはなく治療法も確立されていない。この現状
のなかで、RPZ 10 mg/日が無効であったGERD患者において六君子湯追加投与とRPZ
倍量の2群間でRCTを施行し得たことは臨床的な意義が極めて高いと考えられる。改
善率には有意な差異は見られていないが増悪率については六君子湯追加投与群の方が
低く六君子湯の追加投与の有効性を提示した論文である。 12. Abstractor and date
小暮敏明 2012.12.31, 2013.12.31